チャンクアップとチャンクダウン

チャンクという言葉があります。

チャンクとは「塊」という意味で、例えば、日本は一つの国、
すなわち一つのチャンク(塊)となります。

チャンクアップとは、大きな塊にまとめていくこと
チャンクダウンとは、小さな塊に分解していくこと
を言います。

関東・関西・東北…は「地方」というチャンクであり、
それをチャンクアップすると日本であり、「国」というチャンクになります。
逆に、日本をチャンクダウンすると関東・関西・東北…となります。

 

実はこのチャンクアップ、チャンクダウンの考え方は、
人間関係でとても役に立つスキルなのです。

子供を例に考えてみます。

「喉乾いたー」「抱っこしてー」「公園行きたいー」
と子供が駄々をこねているとします。

一つ一つ対応していては、体がいくつあっても足りませんね。

しかし、それらの駄々が「妹ばかりじゃなくて僕にもかまって」という
気持ちから生まれているのだとしたらどうでしょう。

この場合、「僕にもかまって」が、個別の駄々の「上のチャンク」ですので、
それを見つけることが、チャンクアップするということです。

そして、その「僕にもかまって」を満たしてあげれば、駄々は少なくなると思いませんか?

「僕にもかまって」の解決策はなんでしょう?
それはたとえば、親がその子と二人きりの時間を作るということかもしれませんね。

この思考がチャンクダウンするということになります。

 

冒頭の国と地方の事例では、チャンクダウンしても同じ結果で説明しましたが、
今回の子供の例のように、チャンクダウンは別の方向にすることもできるのです。

言い換えれば、チャンクアップは、本質を掴むことであり、
その本質からチャンクダウンすることで、新たな選択肢を増やすことができるわけです。

二人きりの時間を作るという選択肢を選ぶことで、
もう「喉乾いたー」「抱っこしてー」「公園行きたいー」に
1つ1つ対応する必要はなくなるでしょう。

 

大人もそうです。

大人は、子供ほどシンプルでなかったりしますが、
一つ一つの言動には、その元となる気持ちがあります。

一つ一つの言動ばかり見ていては、言動に振り回されたり、
対応しきれなくて面倒になったりします。

そんなときに、チャンクアップができれば、別の選択ができるわけです。

これは、仕事という作業でも言えます。

上司は、一つ一つの作業が何のためにやっているのか理解しています。
しかし、若手は一つ一つの作業に必死で、何のためにやっているか
理解せずに進めていることがあります。

何のためにやっているかは、作業の上のチャンクですから、
チャンクアップができていないわけです。

また、チャンクアップは本質を掴むことでもあるので、
チャンクアップを繰り返すと、物事の本質に近づきます。

私にとって仕事とは何なのか、私とはどういう人間なのか、
といった哲学的なことに近づいていきます。

哲学というと日本ではあまり馴染みがない気もしますが、
何となく仕事をしている、選択肢が少なく特にやりたいことがないというのは
チャンクアップ、チャンクダウンが少ないからのようにも感じます。

イチローの会見を見ると、記者からの質問に対し、
「僕にとっての野球とは」とか「僕の人生には」とか
本質的な回答が返ってくることがあります。

それは、普段から物事を本質的に見ようとしているのだと思います。
チャンクアップ、チャンクダウンの思考が習慣的にできているのだと思います。

 

少し話が大きくなりましたが、チャンクアップ、チャンクダウンは、
日常的にとても役に立つスキルだと思います。

スキルですので意識して使っていけば身に付きますよ!

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