自然と人工

夏が近づき、蛙が鳴く季節になってきました。

皆さんは、今年、蛙の鳴き声を聞きましたか?

私の子供の頃は、あそこへ行けば蛙がいっぱいいて鳴いている
という場所がありました。

しかし、今、どこで蛙の鳴き声が聞けるかわからなくないですか?

『バカの壁』を書いた養老孟司さんは、このようなことを言っています。

「何もない土地は、空き地と言われる。でもその空き地には、
木が生えていて、鳥がいて、虫がいて、だけど、
人間からしたら空き地、すなわち“空”なわけです。
ようするに、人間の頭の中には、自然が存在していない。」

養老孟司さんは、「人工」を人間が頭で考えて作ったモノ、
「自然」を人間が作っていないモノ、と定義していますが、
確かに、我々の身の回りは、人工ばかり増えていて、
自然はだいぶ減っているように思います。

エアコンの効いた生活、電車に乗ってオフィスビルへ行って
帰ってスマホ片手にテレビも見ながら、加工食品を食べる。

日常は、人間が頭で考えて作った人工物ばかりです。

物だけではありません。社会もそうです。
お金だったり、学校や会社といった制度は、
人間が頭で考えて作った人工のモノです。

考え方なんかもそうです。
普通はこう。常識はこう。理屈はこう。

すべて人間が頭で考えて作った人工のモノです。

しかし、人間は、人間が頭で考えて作ったモノではありません。
生き物であり、自然のモノです。

自然である人間が、こんな人工的なモノに囲まれていたら、
体がおかしくなって当たり前ではないでしょうか。

(真偽はわかりませんが)現代人が(コロナ以前から)除菌抗菌で
免疫力が低下している、エアコン生活で体温調節機能が衰えている、
などと言われる理由もわかります。

養老孟司さんは、現代の『参勤交代』と言って、
都会人の一定期間(少なくとも1年で1ヶ月)の田舎暮らしを推奨しています。

それほど、人間にとって自然は大事なものなのです。

人工=悪いと言っているわけではありません。
自然と人工のバランスが悪過ぎるのです。

高度経済成長によりいろいろな物が作られ、
快適に生活できるようになりました。

しかし、近年、田舎がクローズアップされ、不便でも
自然の中で暮らしたい思う人が増えているように感じます。

それは、人間という生き物が人工の中で暮らす限界を
体で感じているのかもしれません。

皆さんの生活には自然はどれだけありますか?
まずは休日だけでも、自然に触れてみてはいかがでしょうか。

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