イライラする、怒りっぽくなる


023826「イライラする・怒りっぽい」状態になるのはどうしてですか

「イライラする・怒りっぽい」状態とは、通常、状況や物事が自分の思い通りにいっていない時にこころの中に生じる不快感のことを指します。
イライラして怒りっぽい人は、何となく気分が落ち着かず、周囲からのちょっとした言葉や音などに過敏に反応して、不機嫌そうな声で返事をしたり、相手を無視したり怒鳴りつけたりします。 ほとんどの場合、人がイライラしたり、怒りっぽくなったりするのは、何らかのストレスを抱えていて、しかもストレスがなかなか解消しなかったり、自分がそのようなストレスを抱えなければならない理由について納得できなかったりすることが原因です。
簡単な例として、たとえば夏の暑い日、冷房が故障した電車の中に何の説明もないまま長時間閉じ込められていたら、誰でもイライラします。
イライラや怒りっぽさは、明らかなストレスが存在していなくても、様々な精神障害に付随する症状としてみられることもあります。精神医学では、ささいなことをきっかけにして周囲に対して不機嫌な態度で反応しやすい状態のことを「易刺激性」、とくに怒りっぽい状態のことを「易怒性」などと呼びます。
易刺激性や易怒性は、ほとんどすべての精神障害においてみられます。 たとえば認知症や脳血管障害、脳腫瘍などの脳器質性精神障害で、急に易怒性を呈することがあります。
アルコール・薬物依存症では、アルコールや薬物の効果が切れてきた時や、覚せい剤など神経を興奮させる薬物を摂取した後に、易刺激性が強まることがあります。
統合失調症でも、幻聴や妄想のせいで易怒性が高まることがあります。
双極性障害の躁状態ではとくに易刺激性が目立ち、患者さんの言うことに反論しようものなら、すぐに怒りだしてしまいます。
まれですが、うつ状態に対して投与された抗うつ薬の作用で、易刺激性が生み出されることもあります。

自分が具合が悪いときはどうしたらいいですか

まずは自分がイライラしていることに気づかなければなりません。
自分ではとくに問題があるとは思えなくても、周囲の親しい人から「最近、イライラしてない?」、「怒りっぽいことが多いよ」などと指摘されることがあれば、少し立ち止まって自分のふだんの生活を振り返ってみることが必要です。
何か不本意ながら我慢し続けなければならないことを抱えていないでしょうか。
周囲の人から指摘されたことに対して「自分をバカにしている」、「イライラするほど自分は弱い人間ではない」などと決めつける前に、一度そのような指摘をしてくれた人と、どのような点が「イライラ」や「怒りっぽさ」と思えたのか、ゆっくり話し合ってみてはいかがでしょうか。あなたに嫌われてしまう危険を冒してまで、そのような指摘をしてくれる人は、きっとあなたのことを真剣に心配してくれている大切な人のはずです。
自分でも「最近どこか周囲とうまくいかないな」、「なんだか体調がよくないな」とひそかに感じていたのなら、なおさら身近な大切な人にSOSを出してみてください。 何か「人に愚痴を言うなんてみっともない」、「人に話してもどうせ意味がない」、「相手に負担をかけたくない」などと一人で思い込んで、長い間、我慢し続けてきた大きなストレスが胸の内に眠っていないでしょうか。
確かに相談したからといって、すぐに解決策が見つかるわけではないかもしれませんが、あなたにとって大切な人なら、なおさらあなたの悩みを共有したいと思っているはずです。逆の立場ならそうではありませんか?大切な人に苦しみを共有してもらうだけで、ストレスの半分が消え去ってしまう場合もあります。 自分をよく知る人と冷静に話し合ってみても、イライラ感の原因と思われる明らかなストレスが見当たらない場合や、周囲から指摘されるほどのイライラ感や怒りっぽさを数カ月から何年もの間、繰り返し経験しているような場合には、精神障害を一度疑ってみたほうがよいでしょう。
とくに最近、アルコールの量が増えている人や、自分ではまったく問題ないと思っているのに、周囲の複数の人から受診をすすめられている人は、一度、医師の意見を聞くだけでも結構ですから、受診することをお勧めします。医師にあなたがこころの病気にかかっていないか確認してもらうだけでも、周囲の人々を安心させることができます。健康診断のつもりで、お気軽に心療内科や精神科に相談してみてください。

身近にいる人が具合の悪いときはどうしたらいいですか

身近な人がイライラして怒りっぽいと、八つ当たりされたりして、周囲も大きな影響を受けます。
中には、怒りっぽい人の顔色をうかがいながら日々暮らしているうちに、自分自身が不眠症やうつ状態に陥ってしまう人もいます。身近な怒りっぽい人に何をしてあげられるかを考える前に、まずあなた自身の健康を振り返ってみてください。
自分が健康でなければ、人を助けることなどできません。
最近、睡眠不足や疲労感、食欲低下などの症状はありませんか。ひとつでもあるなら、身近な怒りっぽい人への過剰な配慮の結果、あなた自身が強いストレスをため込んでいるのかもしれません。まずは身近な信頼できる人に体調や生活状況について相談してみましょう。話を聞いてもらうだけで楽になるかもしれません。それでも体調がよくならないなら、心療内科や精神科を受診することをお勧めします。
あなたが直接、身体あるいは言葉の暴力を受けている場合は、絶対に我慢してはいけません。ただちに親族と保健所に相談し、安全なところへ避難してください。相手がアルコールを飲むと怒りっぽさがひどくなる場合や、薬物乱用が疑われる場合も、まずは保健所に相談してください。相手が凶器を振り回すなど、生命の危険を感じた時には躊躇せず警察を呼んでください。
暴力や自分の体調の問題がない場合は、身近な怒りっぽい人との距離の取り方が重要です。たとえ相手が家族や恋人、親友であっても、力になろうとしてあなた自身の生活を過度に犠牲にすることだけは避けてください。 怒りっぽさが数カ月以上にわたって長い間、繰り返し続いている場合は、精神障害の可能性もあります。
まずは怒りっぽさの原因について、相手が比較的落ち着いている時に話を向けてみてください。相手を「病人」であると決めつけず、「周囲から見ると、イライラが目立つので心配」、「何か原因として思い当たることがあるなら話を聞きたい」、「こころの病気だったらもっと心配だから、念のため一度だけでも心療内科か精神科を受診してほしい」と静かに伝えてください。 すぐに受診に応じるようなら、むしろ精神障害の可能性は低く、たいていは拒否されるものです。けっして落胆せず、まずはあなた自身だけでも保健所の相談窓口に通い、機会を見て、相手に繰り返し同じメッセージを送り続けてください。周囲の支援者が焦らず孤立せず、健康でい続けることが、問題解決への何よりの近道なのです。

(出典:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」より)